【概要】
2015年に発生。プレイヤーの属性値を上昇させるパワーオーバーバッジ(以降POと呼ぶ)が裏ルートから全国へと流行。
強化補助器具としてセカイも当初は容認していたが、使用中に致命的な問題が発生してからは所持を禁止している。
この開発者のクロは同年組達によって身柄を確保され、装置は破壊されて以後使えなくなっている。
当事件は主に同年組チームの再起に大きく関わった。
【用語】
パワーオーバーバッジ(POバッジ)
脳波に干渉する小型装置。基本的に首より上(襟首など)に装着する事で装置が作動する。
補助操作を行うコアから発せられる電波を受信する事で、属性のコントロール精度が上がり、能力値が高くなる仕組みを持つ。
【制作背景】
元々は属性が上手く扱えないプレイヤーの補助パッチとして考案されたもの。開発主のクロ曰く、自身の属性値の強化と、属性が暴走しがちな大黒屋の為にこの開発に注力した。
初期は強化補助器具であったが、コアから人を支配できる事に気づいてからはその方向性を失った。
【問題】
長期的かつ頻繁な使用によって身体が脳波の干渉に慣れてきた頃に、プレイヤーがMO様症状(自己意思に反する行動)が発生。赤色の細い雷のようなものが頭部を中心に走り、激痛で暴れ狂う症状なども見られた。バッジを破壊する事で症状は消える。
【原因】
コアから発せられる電波は元来強力なもので、直接受ければ頭が割れるような痛みを伴い、その痛みから逃れようと暴れ出す。そのため、敵味方の区別も曖昧になる。
バッジを介して受信に慣れる身体を作り、その高まった受信能力で強電波を受けて大ダメージを負う。
クロ曰く、元々は自身の体の脆弱性をあざ笑った者達への報復にと考えられたものだったが、かつての同期である大黒屋の言葉で思いとどまり、やや減弱されている。初期考案では激痛による精神攻撃によって廃人になるほどだったとか。
【当時の同年組と内部変遷】
2013年にメンバーが2名死亡し、山さんがリーダーを辞退。藍が消息不明のまま。
新リーダーとしてノーザンが着任し、サブリーダーはふぇんりる。
心理的に壊滅状態のチームの回復目的で再編成を行い、ふぇんりる、マキ、ノブの3名とスイの弟子であったテノールが臨時で加入している。死後1年が経過した辺りから徐々にメンバーが集まり、今回の案件がチームとしてのリハビリ戦となった。
山さんが過去の景色を思い出して悪夢にうなされる場面があり、スイは明るく振る舞うも節々で暗い影を落としている。新リーダーとなったノーザンはイカが危惧するほど無理している場面があり、旧メンバーは総じて不安定であった。
当事件の後、テノールはオリジンチームへと移動している。
※この話は実際の本編(途中まで)をベースに、一部改変と修正などを行って現在の仕様に直されています。
1
久々にチーム全員が集まり、模擬戦を交えた後、ノーザンがある話を持ち出す。
プレイヤーの暴走案件を耳にする同年組。ふぇんりるは自警団の長の経験から、元々はセカイも容認していたPOバッジが怪しいと睨んでいた。
同年組一同は暴走したプレイヤー達の沈静のために現地へと赴く。
2
各手分けして暴走したプレイヤーを止める一同。
ノーザンとイカは病室のベッドに縛られて悶え苦しむ被害患者を見て絶句していた。
テノールの同期であるハロと黒天使の調査により、この症状はMOではなく脳の電気信号に関するトラブルである事が判明。情報共有を得て確信へと迫る。
大黒屋は既に犯人の目星がついており、かつての先輩であったクロの旧研究室へと侵入。同じ鍵で開けられる箱の中に入っていた書類から、POバッジの開発資料を発見。それを突き止めたのも束の間、目の前に現れたクロが大黒屋を眠らせて拉致してしまう。
心配で駆けつけた謝朔が大黒屋を座標にしてワープゲートでやって来たものの、もぬけの殻であった。
3
大黒屋が拉致される瞬間、端末に録音されていたボイスレコーダーで同年組は情報を得る。
クロと呼ばれる人物は大黒屋の口から聞いた事ある人物であった。一同はコアと呼ばれるものが最も高い場所であるスカイツリーにあることを知り、そこにクロと連れ去られた大黒屋が居ることを推測。全員で向かう事になる。
4 【分岐】ふぇんりる・スイ
コアを破壊するには、本体を覆っているセキュリティを剥がす必要があった。
スイとふぇんりるはそのセキュリティの解除を試みるが、居合わせた高レベルのルイウの首にその解除スイッチがある事に気づく。
スイは思い切った戦い方ができず、慣れない武器(チャクラム)も相まって苦戦を強いられる。ツインセイバーで戦うふぇんりるだったが、途中でスイに片方の刃を投げ渡し、輪状の刃ではなく長物の刃で戦うよう指示。ふぇんりるは背中に隠し持っていた一丁の銃を片手に、本来の力を示した。周囲を氷漬けにする事でルイウの首を捕る事に成功する。
5 【分岐2】山さん・謝朔・テノール
暴走したプレイヤーの中に大黒屋が居ることに気付く。
大黒屋はPOバッジをつけられ、クロの闇落としの術で心を閉ざしたまま3人を襲い始める。
山さんと謝朔はチームメイトに攻撃を向ける事を躊躇うため、テノールが先陣を切った。
彼女は最近取得した鬼人化で対抗するも、POバッジを装着して強化された大黒屋に打破されてしまう。
大黒屋の苦しむ姿を見た山さんと謝朔は、仲間を救う目的で再度挑むことになる。
大黒屋は闇落としによって精神が侵食されていたが、謝朔が呪歌でその闇落としに自ら入り込み、大黒屋を現実へと引っ張り上げた。続いて山さんが大黒屋のPOバッジを破壊する事で、事なきを得る。大黒屋は後に引けなくなったクロの元から逃げようとしており、その道中でクロが大黒屋に忍ばせたPOバッジを使って遠隔操作を行い、この場所で理性を失っていたという。
テノールは鬼人化を突破された事が挫折となり、これがオリジンチームで修行するきっかけとなった。
6 【分岐3 】ノーザン・イカ・マキ・ノブ
コアにはAIが搭載され、自分の力では止められないものだと語るクロ。
4名でコアの破壊を担当。クロの身柄拘束に挑む。
コアの防衛システムによってイカが負傷。マキとノブも苦戦を強いられる。
ノーザンはコアの破壊中に隙を見せてしまい、クロの闇落としの術にかかってしまう。
「お前が弱かったから仲間が死んだのだろう」
「ここでお前が誰かを死なせてしまうかもな?」
「お前、前世でも家族を守れなかったのだろう」
などと、仲間の屍の幻影を見せつけながら追い詰め、憔悴したノーザンを前に「これを使えばお前はコアに勝てる」と、クロは最後の一声を吹き込む。
クロは「コアが無くても作動する自立式のPOバッジのプログラム」を直接ノーザンの体に書き込んだ。これはクロの人体実験の一環であり、「最終的にコアが破壊されるならば」とノーザンを利用して最後の実験を行ったものだった。
クロの実験によって強化されたノーザンは単独でコアを破壊。
コアを破壊しても様子が戻らないノーザンに、3名は決死の説得を試みる。
マキの言葉により、ノーザンは自力で体に書き込まれたプログラムを破壊。
正常に戻ったノーザンはクロと一騎打ちになる。
「敵ながら感謝する。お前のおかげでひとつ明確に分かった事がある」
「道具に縋って強くなっても、心は自分でしか強くできない」
「だから、俺は自分で強くなる事を選んだ」
勝利したノーザンはそう語る。
「綺麗事を言っても、今のお前は未熟で半端者だ」
反論するクロに、ノーザンは現実を受け入れつつ「これから前を向く。俺独りではなく、皆で」と宣言する。
その後、自警団にクロを引き渡し、チーム一同はその場を後にしたのだった。
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